技術と手法 Technology And Method

SAAMの信頼性を支える設計思想と現場技術

SAAMシステムは、単なる機材ではなく、現場条件・施工履歴・維持管理の実務を踏まえて設計された「技術」と「調査手法」の統合システムです。
ここでは、SAAMが高精度かつ効率的な診断を実現するための具体的な技術要素と運用手法について紹介します。

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1. 開発コンセプト

現場から逆算した機材と手法の開発

SAAMの開発は、
•数多くのアンカー調査
• 重機が入れない
• 足場が設置できない
• 災害時に迅速対応が必要
といった現場の課題から始まりました。

その結果、
「軽量機材」「簡便な設置」「面的診断」
という開発コンセプトが確立され、現在のシステムが構築されています。

グラウンドアンカーエが施工されたのり面の維持管理に必要な アンカーの残存緊張力等に関する調査を、小型・軽量なSAAM ジャッキを用いることで 効率的かつ有効に行えるシステムです。

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2. 現場適応性を高めるハードウェア技術

SAAMジャッキの構成

SAAMジャッキの構成は、アタッチメント・ラムチェアー・シリンダーのみの構成。

また、本機は、アタッチメントの変更により、ナット定着方式のアンカーだけでなく、クサビ定着方式のアンカーやテンドン余長が十分でないアンカーに対しても試験が可能です。

試験時の変位量は、止めナットに変位計を取り付け、シリンダーとの相対的な量を測定します。

SAAMジャッキ

残存緊張力の測定に考えた構造により、軽量化と精度の両立を実現しています。

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SAAM-A

余長が短いグラウンドアンカーのための
アタッチメント

旧タイプアンカーに多い余長が短いアンカーを含め、 ほとんどのアンカーに対してリフトオフ試験および荷重計の設置が可能です。

残存引張り力の測定に特化した構造により、軽量化と精度の両立を実現しています。

SAAM- L

SAAMジャッキを用いた
既設アンカーへの荷重計の設置

SAAM-Lシステムとは旧タイプアンカーを含めほとんどの既設アンカーに対して、荷重管理を行いながら、荷重計だけでなく各種タイプのモニタリング機器を簡便に着脱することが可能です。

残存緊張力の測定に特化した構造により、軽量化と精度の両立を実現しています。

SAAM-F

豪雨・大規模地震による
アンカー破断のリスクに対応。

アンカー工は豪雨や大規模地震により破断し、飛び出した事例が報告されています。
SAAM-Fは、破断時にアンカーが飛び出すことを防止し通行する車両や人への重大な第三者被害を防ぎます

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3.アンカー緊張力の面的調査

のり面全体を「診断」する調査技法

面的調査の実施により、のり面における過緊張・緊張力低下の傾向を視覚的に把握できます。
面的調査とは、アンカーの一部を代表的に抽出してリフトオフ試験を行い、その結果を基にのり面全体の残存緊張力分布を把握し、健全性を評価する調査手法です。
従来のように5%程度の点検結果だけで判断するのではなく、全体の1/4程度の調査によりのり面全体の状態を「面」として捉えることができ、より合理的かつ科学的な維持管理を可能にします。

※2「グランドアンカー維持管理マニュアル」技報堂出版(一部加筆)


調査の流れ

  • 現状点検・頭部確認
    アンカー配置や頭部状態を確認し、調査計画を立案。
  • 試験位置の選定
    のり面全体の評価を確保できる位置を抽出。
  • リフトオフ試験の実施
    残存緊張力を測定。
  • 残存緊張力分布の解析
    面的分布図(コンター図)を作成。
  • 健全性評価
    分布傾向から維持管理の方針を判断。

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面的調査における試験アンカー位置の選定例

◎ 全体の 1/4程度 を目安に抽出
◎ 列・段に偏りが出ない配置
◎ 千鳥配置・斜め方向の抽出
◎ 現地状況に応じた柔軟な計画

理想的には全数調査が望ましいものの、現実的にはコストや時間の制約があります。
面的調査では、のり面全体の代表性を確保しながら、効率的な抽出調査を行います。

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大規模のり面における段階的調査

調査コストの最適化・作業時間の短縮・高精度なリスク評価を同時に実現。

アンカー本数が多いのり面では、すべてのアンカーを調査することが現実的でない場合があります。
そのためSAAMシステムでは、代表性を確保しながら効率的に調査を進める「段階的調査」を採用しています。

まず、のり面全体のアンカー(1/4程度)を対象に、列・段に偏りが生じない千鳥配置や斜め方向の抽出を行い、面的な分布傾向を把握します。
この段階で、過緊張や緊張力低下の可能性がある領域を特定します。

次に、異常が確認されたエリアを中心に追加調査を実施し、
異常範囲の精度を高めることで荷重のモニタリングをして状況把握して対応し、より確実な健全性評価を行います。

必要に応じてSAAM-Lにより荷重計によるモニタリングを実施し、のり面状況の把握を行うことができます。

4.緊張力分布図の作成

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  • 緊張力分布図の作成

    リフトオフ試験で得られた残存緊張力のデータを基に、のり面全体の緊張力分布を面的に可視化します。
    測定値を位置情報とともに整理することで、アンカーの状態を「点」ではなく「面」として把握でき、のり面の安全性を客観的に評価することが可能になります。
    この分布図により、[緊張力低下領域][過緊張領域][バランスの偏り]を視覚的に把握でき、合理的な維持管理計画につながります。

  • 異なる設計条件への対応

    同一のり面において、設計アンカー力が異なるアンカーが混在する場合、残存緊張力のみでは評価が困難となります。
    そのため、設計条件に対する比率評価を行い、より適切な診断を実現します。
    【評価に用いる主な指標】
    • 設計アンカー力
    • 定着時緊張力
    • 降伏荷重
    • 許容アンカー力
    これにより、異なる仕様のアンカーでも統一的な評価が可能となります。

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  • 2種類の分布図による多角的評価

    ● 残存緊張力分布図(Pe
    実測値を基に作成する基本的な分布図であり、劣化や緩みの兆候を直接把握できます。

    ● 設計アンカー力比分布図(Rtd
    (Rtd = Pe / Td × 100%)

    ● 定着時緊張力比分布図(Rpt
    (Rpt=Pe/Pt×100%)
    設計アンカー力や定着時緊張力に対する残存緊張力の割合を用いて評価します。

    異なる設計条件を比較でき、より実用的な維持管理指標となります。

5. のり面の健全性評価

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  • 客観的な健全性判定

    面的調査により得られた結果を基に、のり面全体の健全性を総合的に評価します。
    評価は「グラウンドアンカー維持管理マニュアル」に準拠し、A〜Dの健全性区分で判定を行います。

    これにより、
    • 維持管理計画
    • 補修の優先順位
    • 長期的な安全性
    を科学的に判断できます。

  • 判定から対策へのプロセス

    評価結果は、維持管理フローに基づいて整理され、必要に応じて次の対応につながります。

    • 追加調査
    • モニタリング導入

    • 緊張力の再調整
    • 措置対策

    限られた予算の中でも、合理的で効果的なインフラ管理を実現します。

6. 継続的な維持管理とデータ活用

SAAMシステムにより面的調査が可能になり、モニタリングと連携した継続的な管理を可能にします。

• 定期調査による変化の把握
• 過去データとの比較
• 劣化傾向の分析
• 予防保全の実現
これにより、インフラ管理を「事後対応」から「予防保全」へと転換します。